小さい頃の思い出

3歳から5歳までばあちゃん家で育ち、保育園に通っていました。主にその頃の思い出話です。昭和の情景を懐かしんで頂けたら嬉しいです。

お祭り

小高いところに小学校があり、

その下の神社でお祭りがあった。

 

保育園で先生が園児を講堂に集めて

お祭りで使えるお小遣い金額の説明をした。

 

両手を広げて

「お祭りでは100円まで使えます。

 10円が10個で100円です。

 すごいでしょう。」

と言う。

 

帰ってばあちゃんに報告し、

100円もらい、いざ、お祭りへ。

 

一人で行ったと思うので

のどかやったんやなあ、と。

 

お店はあまり出ていなかったが、

小さなおもちゃを売っているお店で

いくつか買った。

 

10円残っていた。

おもちゃ屋さんには

不細工なセイウチのような潜水艦のおもちゃが残っていた。

 

最後の一個を見ていると欲しくてたまらなくなった。

 

結局、100円使い果たして帰り、

ばあちゃんに話すと

 

「全部使わんでもいいがいね。」

 

と優しくたしなめてくれた。

 

物価を考えると今の1000円位?

保育園児には大金だ。

保育園の先生にも責任がある。

口内炎?

口の中が痛くて食べられない。

 

ばあちゃんはお粥を炊いたり、りんごをすってくれたが、

食べられない。

 

痛くて、泣き続けた。

 

ばあちゃんは、かなり心配してくれた。

 

歯が痛いだろうと考えて

隣駅の金丸駅近辺の歯医者さんまでおぶって連れて行ってくれた。

ずっと泣き続けた。

 

虫歯でもなく、口内炎でもなく、

かぜき=風邪から来る諸症状 とのことだった。

原因不明→かぜき なのだろう。

しばらくすれば治るとのこと。

 

おぶってもらって帰った。

 

ばあちゃんは、

「すぐ治るんやて」

とほっとした様子で、やさしくなだめてくれた。

 

その空気に包まれて、

拍子抜けした気分も混じり、

たぶん痛みも感じなくなって

泣き止んでいた。

 

ウルトラQ

ばあちゃん家で観たテレビ番組では

鉄人28号、遊星仮面、ウルトラQおはなはん

記憶に残っている。

 

NHK連続TV小説のおはなはんは、毎朝、ばあちゃんと観ていた。

主題歌の「おーはなはん、おーはなはん」という所の

歌詞とメロディーだけは覚えている。

この番組が終わると、保育園に行く時間であった。

 

ウルトラQ

ウルトラ シリーズの先駆けとして放送された

円谷プロの実写版怪奇ドラマだ。

ウルトラマンのようなヒーローは出ず、等身大の怪獣が出てくる。

お金大好き怪獣カネゴンは有名。

 

番組最初の ウルトラQの題字表示に特徴があった。

 グジャグジャの渦巻き模様からそれが回りながら

整っていき、「ウルトラQ」の文字になるというもの。

 

にいちゃんは勉強の最中にコーヒーを飲むことがあり、クリープを入れる。

それを混ぜながらウルトラQだと言って見せてくれる。

多分喜んで見ていたのだと思う。

「言うこと聞けばウルトラQを見せてやるぞ」と

言われた記憶がある。

はしご

ばあちゃんの家には2階があった。

2階全フロアはにいちゃんの部屋だった。

屋根裏というのかもしれない。

奥のほうに勉強机があり柄が曲がる電気スタンドが置いてあった。

 

2階に行くにははしごを上る。

階段でなく木製のはしごだったので

保育園時代には一人で上ることは禁止されていた。

にいちゃんに、時々連れて行ってもらいラジオを聞かせてもらった。

 

小学生になってからばあちゃんの家に遊びに行き、2階にも上った。

手を駆使してはしごを上る。

はしごから2階の床に移る瞬間は勇気がいる。

2階の床の板は柔らかく、ゴザが敷いてあり、バランスを崩しやすいし、滑りやすい。

今考えると命懸けだった。

 

チャート式参考書が置いてあった。

ライスカレー

ばあちゃんがライスカレーを作ってくれた。

カレールーはパッケージに付いていたインド人のイラストの記憶から調べてみると、おそらくオリエンタル即席カレーであろう。昭和20年から販売していたそうだから、時代的にも合う。

肉の代わりにソーセージが入っている。

 

辛くて食べられなくて泣いた。

にいちゃんがご飯と混ぜながら、おいしそうに食べているのを見て、

「混ぜたら辛くなくなるかなあ」

と言って混ぜてみた。

 

変わらないのでさらに泣いた。

ばあちゃんは悲しそうだった。

ホタル

夜、ばあちゃんにおんぶしてもらっていた。

田んぼの近くを歩いているとホタルが飛んでいる。

 

ほー、ほー、ほーたるこい

あっちのみーずはにーがいぞー

こっちのみーずはあーまいぞー

ほー、ほー、ほーたるこい

 

歌ってくれた。

 

 

にいちゃんがホタルを採ってきてくれた。金網の虫かごにスギナを入れてくれた。

ホタルはスギナに付く露を食べると教えてくれた。

 

電気を消すと、ぼうっと光る。

 

決断

保育園に行っていた頃のばあちゃんの家は汲み取り便所だった。

 

おしっこ用は壁にするようなタイプで子供でも特に危なくない。

しかしうんこする時、落ちそうで危ないのでおばあちゃんが後ろから抱えるようにしてさせてくれた。

トイレットペーパーは四角く切った新聞紙を使う。

 

さて、

保育園に行っている頃、一人で留守番をしていた。

今考えると安全やったんやなあと。

 

便意をもよおし、ばあちゃんの帰りを待った。

帰って来ない。

便意が強くなって、玄関前でばあちゃんの帰りを待った。

帰って来なーい。

自分で便所に行くというチャレンジは頭にはない。

 

 限界、

した、

玄関前で。

 

ばあちゃんが帰って来た。

事態を把握して、褒めてくれた。

「そんでいいげんぞ」

そしてお尻を拭いてくれた。